言語聴覚士パパの奮闘記

1児のパパ兼言語聴覚士が小児療育で頑張っていることを書いています

自閉症の子どもの支援

自閉症のお子さんと関わるのは、成人領域で勤めてきた私にとっては学生の実習の時以来となります。

ですので、臨床で困っていることや感じたことを中心にアウトプットしてみます。

 

 

結論から言うと、練習が結構難しいです。

当たり前ですが、自閉症とはいってもその子の性格や他の障害の併存や環境などで臨床像が全く異なります。

自らコミュニケーションをしてくる子もいれば、かなり働き掛けないとやり取りに繋がらない子もいます。

多くのお子さんは、なんらかのこだわりが強いため、やりとり途中でも癇癪に繋がってしまうこともあります。

一人一人をよく観察しながら介入するように心掛けています。

 

強化子は何か?

これは発達障害のお子さん全般に言えることかもしれないですが、お子さんが何か出来たときに褒める(音声言語)、ハイタッチ、よしよしなどの効果がかなり薄い印象があります。

いい行動をした、練習ができたから誉める→うれしいな、もっとやろう!というサイクルが生まれにくいです。

時には、褒め方も配慮しないと嫌子になりかねません。

私の勤めているところであったのは、頭よしよしが感覚過敏があり使えないというものでした。

もし知らずに頭よしよししていたら逆効果になっていたに違いありません。

そのため、親御さんとのアセスメントで必ず好きな遊びと嫌いな遊び、家での余暇の過ごし方を念入りに伺うようにしています。

車遊びが好きといっても、手で走らせるのが好きなのか、一列に並べるのが好きなのか、タイヤのくるくるが好きなのか、ぶつけるのが好きなのかなど様々です。

こちらの意図している練習が出来たらすかさず好きなおもちゃで好きな遊び方を提示するように心掛けています。

 

「あ」の発声しかないお子さん

表出が「あ」しかなく、要求は指さしやクレーン、時折アイコンタクトのお子さんがいました。理解は年齢相応か少し遅れのある程度でした。

発声発語器官の評価をして、器質的に問題がなかったため、音の分化を目標とし、口腔の模倣を中心に実施しました。

始めて3週間程度ですが、模倣の回数が明らかに増加し、視線もセラピストの口形に向くようになってきています。

「あ」から続く、視覚的にわかりやすい両唇音を組み合わせて行いました。

 

鏡を見ることが嫌い?

成人領域では、口の運動の際に視覚的フィードバックをいれるため、鏡を見せながら実施することが度々ありました。

小児でもこれは有効であると考えたため、時折鏡を用いますが、じーっと見続ける子と拒否する子の両極端な印象です。

私であれば、見たり視線を外したりすると思いますが、これはなにか理由があるのですかね。

 

走りまわる子ども

走りまわる子どもへの練習も難しいです。

私は、その子供の好きなおもちゃをちらっと見せてアイコンタクトと要求を促して介入開始しています。

ノッてきたらおもちゃを見えるけれど少し届かない棚の上に置き、再度要求するかをみて、ゆっくり手渡す際に音声言語と物のマッチングを促しています。

この際はなるべく単語のみを伝えています。

時折、音声模倣されることがあり、できた際はすかさず強化するようにしています。

走り回る子どもは感覚探求されている可能性があるため、先に感覚を入れてあげた方がよいとの方法もありますね。

 

親御さんの想い

私は音声言語がなかなか出ないASDのお子さんに対してサインを勧めたいと考えています。

視覚的支援も有効ですが、準備の大変さと利用のしにくさを考えるとサインが一番楽な印象です。

やってみると意外と難しくないです。子供はすぐ覚えます。

しかし、親御さんのなかには、「サインを覚えさせると言葉がもっとでにくくなるのではないか」という考えのかたもいらっしゃるようです。

私は、無理にとはいいませんが、サインをきっかけとしてより音声言語を促すツールになると伝えるようにしています。

サインを使用することにより音声言語が遅れるということはなく、むしろ促されるという研究結果もあるくらいです。

今ではなく、より過ごしやすい未来を見据えて取り組む方がよいと私は考えます。

 

以上、つらつらと駄文でしたが、つぶやいてみました。

ご一読いただきありがとうございました。