言語聴覚士パパの奮闘記

1児のパパ兼言語聴覚士が小児療育で頑張っていることを書いています

声の大きい子供

今回は声が大きい子供について書いてみようと思います。

お子さんの声が大きいなと感じた方も多いのではないでしょうか。

なぜ大きくなるのかを考えてみました。

 

 

声が大きくなる場面

子どもの声が大きくなる場面はどのような時が多いでしょうか。

私が見ていると大きく2つに分けられると思います。

①遊んでいるとき、喧嘩、拒否しているときなどの興奮時

➁静かだったのに前触れもなく急に大きな声を出す時

 

①は想像しやすいですね。

走り回って「あー!」と叫んでいたり、「ダメ!」や「やめて!」を必要以上に大きい声で言います。

部屋中に響きわたるような声で全員がその子に注目するくらいの声量です。

➁は座って何か作業してたり、またはただ座っているとき、車の移動中などに、静かにしているなと思った瞬間叫ぶような場面があります。

これも場面にそぐわない大声なので周囲の人がぎょっとして注目します。

 

これらはいわゆる「問題行動」の一つに挙げられると思います。

 

なぜ大声をだすのか

結論から述べますと、2つ理由があると思います。

1つ目は、周囲の注目を集めたいから→適切な言葉を知らない(言語発達遅滞)

2つ目は、聴覚刺激の入力をしたいから

 

まず「周囲の注目を集めたいから」を考えてみます。

基本的に大声を出すとどのような時でも周囲の人の注目を集めることができます。

そして大声を出すだけなので方法としてはかなり簡単です。

(大声で)○○君!だめ!!!

○○君、そんなに大きい声出してどうしたの!?

 

これを大声を出さないルートにするとどうでしょうか。

 

○○君、おもちゃをそんな使い方したらダメだよ

先生、○○君がおもちゃをこうやって遊んでた、だめだよね。

わかった、先生から言っておくね。

もしかしたらこのようになるかもしれません。

見てわかるように現前事象でない非現前事象を伝えるのは、文章も長くなり、高度な言語能力がいります。

そのため、ことばの遅れがあるお子さんは大声という方法を使うこともあります。

そして脳は基本的に省エネで、簡単な方法を選択しようとします。

これを学んだ子どもは他の方法を学ぶまで大声という選択をしやすいかもしれません。

 

次に「聴覚刺激を入力したいから」です。

感覚統合に困難さがある児童によく生じます。

例えば、ずっと座っていることが難しく、ついもぞもぞ動き始めてしまう児童は、「感覚探求」をしているという一つの理由付けができます。

これは、見てわかる動作なので理解しやすいですが、聴覚にも当てはまるのではないかと思います。

私たちでも心地よい音や特徴のある音を何度も聞いたり、求めたりすることがありますよね。

それに近いものがあり、特に刺激が少ない場面で大声を出すことにより、聴覚を用いた感覚探求をし、精神的な安定を得ようとしているのだと思います。

この時の児童は聴覚過敏の児童にみられる苦痛な表情はみられず、むしろ非常に楽しそうに見えます。(本当に楽しいかはわかりません・・・。)

 

どのような対応がよいのか

まずはよくないと思う対応は、「子どもと同じレベルで対応してしまう」です。

つまりは、子どもの大声に対して大人も大声で「どうしたの!?」と注目してしまう対応です。

これは、大声を出す→注目を集められるという問題行動に対する報酬が成り立ってしまい、大声が強化されてします。

 

私は、まず大声を出したらなぜ大声を出したのかを把握するようにします。

次に歩いて近づいていき、まだ大声を出し続けていれば、その場から少し離します。

落ち着くのを待ち、「大丈夫?」と静かに話し始めます。

大声を出したことに対しては殆ど触れません。

ある意味問題行動については「無視」しているといえるかもしれません。

たまに「アリさんの声で話してね!」という職員がいますが、小さい児童に対しては難しいことが多いです。(それで学習する子もいます)

これは、尺度が自分の中にあって初めて成り立つもので、アリさんの声や小さい声と言われても実践しにくいと思います。

それであれば、大人側が静かな声(ほぼ無声化)で話すのがよいと思います。

意外と子どもは小さい声で返してくれることが多いです。

感覚探求されている子どもは他の動的な活動へ転換するように促します。

 

耳が悪い?

お年寄りだと声が大きくなってきている=加齢性難聴の傾向と言われています。

ということは、子供も難聴のリスクがあるかも・・・?

と思うこともあるのではないでしょうか。

私の経験上、普段の話し方や指示理解、聴性行動、テレビや音楽の音量はどうか、時折、ささやき声で話しかけたりしてみて総合的に考えます。

こういうケースでは今までは難聴と思った児童はいません。

今後、もし難聴を疑う場面があれば、耳鼻咽喉科などの受診を勧めることも必要ですね。

以上のことから声が大きい=難聴と決めつけることはできません。

 

以上「声が大きい子供」について書いてみました。

お読みいただきありがとうございました。