「滑舌(発音)が悪くて心配なんですが、どうしたらいいのでしょうか……?」
このようなご相談を、言語聴覚士(ST)として日々お子さんと関わる中で、時折受けることがあります。
保護者の方にとって、
「様子を見ていていいのか」
「訓練が必要なのか」
判断が難しいテーマですよね。
今回は、滑舌(構音)の発達をどのような視点で考えればよいのかについて、書いてみます。
少しでも参考になればうれしいです。
目次
-
結論|滑舌は何を基準に判断する?
-
年齢と滑舌(構音)の発達
-
構音は段階的に発達する
-
未熟構音とは
-
-
言語発達年齢も大切な視点
-
構音訓練を考えるときの3つのポイント
-
構音訓練はいつ頃からできる?
-
構音訓練ではどんなことをする?
-
ご家庭でできること・控えたいこと
-
まとめ|迷ったときは相談を
結論|滑舌は何を基準に判断する?
結論からいうと、
年齢・言語発達の程度・お子さんの状況を踏まえて、
構音訓練が必要かどうかを検討していきます。
「滑舌が悪い=すぐ訓練が必要」というわけではありません。
以下で、その理由を順番に説明していきます。
年齢と滑舌(構音)の発達
滑舌(構音)は、生まれてから徐々に上手になっていきます。
構音は段階的に発達する
発音の発達は、おおまかに次のような流れです。
-
パ・マなどの簡単な音
- た、かなど破裂する音
-
さ行・ら行などの難しい音
定頸 → 寝返り → 座位 → はいはい → つかまり立ち
といった運動発達なようなものと思っていただいてもよいと思います。
最初から難しい音から先に飛び越えて獲得することは、基本的にありません。
未熟構音とは
発達の過程でみられる発音の誤りを未熟構音といいます。
例えば、
-
でんしゃ → でんちゃ
-
さかな → ちゃかな
といった言い間違いです。
このような未熟構音は、
多くの場合、小学1年生頃(6歳前後)までに自然と整っていきます。
そのため、2〜3歳のお子さんに言いにくい音があっても、
すぐに訓練が必要になるわけではありません。
言語発達年齢も大切な視点
次に見るのが、言語発達年齢です。
言葉全体の発達がゆっくりな場合、
構音の発達もゆっくり進むことが多くなります。
知的障害、自閉症、ダウン症などのあるお子さんでも、
それぞれの特性や言語発達を踏まえながら対応を考えていきます。
※なお、他の障害がなくても構音障害がみられることはあります。
構音訓練を考えるときの3つのポイント
私が実際にお子さんをみる際、特に重視しているのは次の3点です。
-
人や物との関わり方
-
言い直しで上手に言えるかどうか
-
座って大まかな指示が聞けるかどうか
構音には「音を聞く力」が重要です。
① 人や物に興味をもって関われていると、
自然と音を聞いたり、まねしたりする機会が増えます。
② 例えば、
子「ちゃかな(さかな)」
母「ほんとだね、さかながいるね」
子「うん、さかないる!」
のように、耳で聞いて修正できるお子さんは、自然に改善することもあります。
③ 構音訓練では、指示を聞きながら口や舌を動かす練習を行います。
そのため、ある程度落ち着いて話を聞ける力も必要になります。
※もちろん、これが難しいお子さんでもできる支援はあります。
構音訓練はいつ頃からできる?
目安として、
**言語発達年齢4歳前後〜**を想定することが多いです。
この頃になると、
-
指示を理解する力
-
課題に取り組む力
が育ってくるため、訓練が進めやすくなります。
構音訓練ではどんなことをする?
お子さんの年齢や発達に応じて、次のような内容を行います。
-
音の聞き分け練習
(例:サイレンを聞いて消防車がわかる) -
口を楽しく動かす遊び
(吹く・舌を動かす など) -
舌の力を入れたり抜いたりする練習
-
音の反復練習
-
1音ずつ意識する練習
(りんごの「り」など)
「厳しい練習」ではなく、遊びの要素を取り入れて進めます。
ご家庭でできること・控えたいこと
ご家庭でできること
-
姿勢を意識して、よく噛んで食べる
-
吹く・なめるなど、お口を使った遊び
-
体を動かすさまざまな経験を増やす
控えたいこと
-
無理に言い直させること
-
言い間違いを何度も指摘すること
話すこと自体が嫌になってしまっては本末転倒です。
楽しいコミュニケーションを大切にしてください。
まとめ|迷ったときは相談を
滑舌が気になると、不安になるのは自然なことです。
年齢が低い場合は慌てる必要はありませんが、
年齢が上がるにつれて、本人が気にしたり、周囲から指摘されたりする場面も出てくることがあります。
迷ったときは、
お近くの言語聴覚士やST協会に相談してみてください。
適切な評価と支援で、良い方向に進むケースは多くあります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。